Google Researchは、Gemini Enterprise Agent Platform上で、Cross-Corpus Retrieval powered by Agentic RAGを提供すると発表した。従来のRAGが一度検索して回答するのに対し、Agentic RAGは必要な情報が足りない場合に、計画、検索語の書き換え、再検索を繰り返す。
企業の社内検索では、答えが一つの文書にまとまっているとは限らない。プロジェクト資料、財務データ、チケット、医療記録のように情報が分散している場面では、単発検索だけでは部分的な回答や「見つかりません」に終わりやすい。今回の発表は、その弱点をエージェント型の探索で補うものだ。
十分な文脈があるかをAI自身が点検する
Googleの説明で特徴的なのは、Sufficient Context Agentという品質管理役を置く点だ。このエージェントは、取得した断片、途中の回答案、欠けている情報を確認し、回答に必要な文脈が不足していれば再検索を促す。
役割 | 動き |
|---|---|
Orchestrator | 複雑な依頼を分解し、必要な処理を割り振る |
Planner Agent | どの情報源を順に調べるべきかを計画する |
Query Rewriter | 長い質問を検索しやすい複数の問いに変換する |
Search Fanout Agent | 複数の検索先から断片を集める |
Sufficient Context Agent | 不足情報を検出し、再検索を指示する |
最大34%の正確性向上を報告
Googleは、FramesQAなどのファクト性データセットで、標準的なRAGと比べて正確性が最大34%向上したと説明している。例として、複数のテレビ番組の視聴者数と放送時間を調べて差分を計算するような、多段階の質問が挙げられた。
この種の質問は、単に近い文書を拾うだけでは解けない。対象を特定し、追加の属性を調べ、比較し、計算する必要がある。企業業務でいえば、契約条件、顧客対応履歴、在庫、規制文書をまたいで判断するケースに近い。
社内ナレッジ活用のボトルネックを変える
日本企業でも、社内文書検索やナレッジマネジメントは生成AIの主要ユースケースになっている。ただ、現場では「それらしいが根拠が弱い」「情報が複数システムに分かれている」「最後は人が探し直す」という課題が残る。
Agentic RAGの方向性は、検索AIを単なるQ&Aから、調査プロセスそのものを進めるエージェントへ変える。もちろん、医療、金融、法務のような高リスク領域では、人間の確認と監査ログが不可欠だ。それでも、足りない情報を検出して探し直す仕組みは、社内AIの信頼性を上げる重要な部品になる。


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