Google Cloudは、AIエージェントを構築、拡張、統制、最適化するための「Gemini Enterprise Agent Platform」を発表した。Vertex AIのモデル選択、モデル構築、エージェント構築機能を土台に、統合、DevOps、オーケストレーション、セキュリティを加えた包括的な基盤と位置づけている。
発表の意味は、企業AIの主戦場が「モデルを呼び出す」段階から「多数のエージェントを本番運用する」段階へ移っていることだ。OpenAIやMicrosoftと同様、Googleもエージェントを企業システムに安全に組み込む運用レイヤーを前面に出してきた。
4つの柱はBuild、Scale、Govern、Optimize
Agent Platformは、低コードのAgent Studio、コードファーストのAgent Development Kit、長時間動くAgent Runtime、長期文脈を保持するMemory Bank、Agent Identity、Agent Registry、Agent Gateway、Agent Simulation、Agent Evaluation、Agent Observabilityなどを提供する。
柱 | 主な機能 | 企業での意味 |
|---|---|---|
Build | Agent Studio、ADK、モデル選択 | 業務部門と開発者の双方が作れる |
Scale | Agent Runtime、Memory Bank | 状態を持つ長時間エージェントを動かせる |
Govern | Agent Identity、Registry、Gateway | 誰が作ったどのエージェントかを追跡し制御できる |
Optimize | Simulation、Evaluation、Observability | 実行過程を見ながら品質を改善できる |
200以上のモデルと顧客事例を前面に
Googleは、Gemini 3.1 Pro、Gemini 3.1 Flash Image、Lyria 3、Gemma 4に加え、AnthropicのClaude Opus、Sonnet、Haikuなどサードパーティモデルにも対応すると説明している。モデルを一社に固定せず、用途に応じて選べる柔軟性を打ち出した形だ。
事例としては、Burns & McDonnell、Color Health、Comcast、Geotab、ぐるなび、L'Oréal、Payhawk、PayPalなどが挙げられている。特に、ぐるなびがMemory Bankを使ってユーザーの過去行動や好みを踏まえたレストラン発見体験を作るという説明は、日本企業にも身近なユースケースだ。
エージェント管理はIT運用の課題になる
エージェントが増えると、便利さと同時に管理負荷も増える。誰が作ったエージェントが、どのデータにアクセスし、どの判断で操作したのかを追えなければ、本番運用は難しい。GoogleがIdentity、Registry、Gateway、Observabilityを強調するのはこのためだ。
日本企業が検討する際は、まず「どの業務を自律化するか」ではなく、「自律化された業務をどう監査するか」を設計する必要がある。エージェント時代のクラウド基盤は、モデル性能だけでなく、統制と観測性の競争になる。


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