京都市が2026年1月に全職員約7000人を対象にNotebookLM Enterpriseを導入し、わずか2カ月で利用者2000人超を達成した。利用者の約8割が「業務の質向上」を実感しており、自治体のAI導入成功事例として注目を集めている。
M365利用の政令市がNotebookLMを選んだ理由
京都市は2022年1月策定の「京都市DX推進のための基本方針」に基づき、各部門のDXを推進してきた。2024年2月に新市長が就任し、DXで「余裕」を生み出してまちづくりに充てるという方針のもと、AI活用をはじめとするデジタル化が加速した。
標準グループウェアとしてMicrosoft 365を導入済みだったが、NotebookLM Proを試用する職員から好評を得たことがきっかけとなり、NotebookLM単体で全庁導入できるNotebookLM Enterpriseへの転換が決定された。
導入2カ月の成果
利用開始からわずか2カ月の実績は目覚ましい。
指標 | 結果 |
|---|---|
利用者数 | 2000人超(全職員7000人中) |
業務の質向上を実感 | 利用者の約80% |
うち「劇的な向上」 | 約20% |
週あたり作業時間削減 | 約70%が「週1時間」の効率化(年間約50時間相当) |
主な用途は「長文資料からの情報検索・抽出」「文章の要約・校正」「議事録・案文の作成」「専用チャットボットの作成」など多岐にわたる。
具体的な活用事例
例規マニュアルのAIチャットボット化
膨大な例規マニュアルをNotebookLMに読み込ませ、AIチャットボットを作成。職員は「京都市に面積100キロ平米の市有地に出店する場合の例規の取り扱いをまとめて」と質問するだけで正確な情報を得られるようになった。
コンプライアンスガイドの作成
コンプライアンスに関する膨大な資料をNotebookLMの音声機能を活用して作成。従来は「京都市職員コンプライアンス推進(案)」を職員に配布していたが、NotebookLMの活用により対話的なテキストデータの要約化に成功し、ガイドラインとしてのクオリティを認められて全庁配布された。
次のステップ:Gemini EnterpriseによるAIエージェント
京都市はNotebookLMを足がかりに、Gemini Enterpriseを組み合わせた「全庁型AIアシスタント」の実証実験を進めている。API経由でGoogle WorkspaceやMicrosoft 365、SalesforceなどのシステムとAIエージェントを接続し、分析から提案、実行までを自動化する構想だ。
「NotebookLMは指定した資料からの精度の高い回答に長けています。しかし京都市が保有するデータは膨大かつ多岐にわたり、さらには分析結果をもとに資料を作成しメールを送るといった総合的なアクションも求めます」── 京都市 デジタル戦略推進室
留意点
自治体での生成AI業務利用ではセキュリティが重要課題となる。京都市は技術的な安全性を確認した上で、NotebookLMやGeminiの活用で機微情報の取り扱い基準を整備している。また、NotebookLMの特性上「指定した資料からの回答」に限定されるため、回答の正確性が高い反面、資料外の知識は参照できない点に留意が必要だ。

