Mistralは、AIシステムが複雑な社内文書を検索、閲覧、検証できる「Agentic Search」を発表した。従来のRAGが固定の文書片を取り出して回答するのに対し、Agentic Searchはsearch、open、navigate、read、grepのような複数ツールで情報をたどる。企業AIの実装では、モデル性能だけでなく「正しい社内情報へ安全に到達できるか」が競争力になる。
従来RAGの限界
従来のRAGは、検索で上位に出た文書片をモデルに渡して回答させる方式が多い。この方法は、答えが1つの短い文書片にある場合は有効だが、長い契約書、財務報告、複数部署の資料、表をまたぐ質問では失敗しやすい。
Mistralは、FinanceBenchで正答率が26.7%から86%へ、OfficeQA Proでは6.3%から51.9%へ改善したと説明している。p90レイテンシーは最大39.6%削減、トークン消費も最大3分の1削減できるとしている。
FinanceBench | 26.7%から86%へ改善 |
|---|---|
OfficeQA Pro | 6.3%から51.9%へ改善 |
効率 | p90レイテンシー最大39.6%削減、トークン最大3分の1削減 |
日本企業が使うなら
社内検索AIは、導入直後に「それっぽいが根拠が弱い」回答を出すと信頼を失う。Agentic Searchの方向性は、AIに答えだけでなく、どの資料を開き、どこを読み、どう検証したかを求める実務に合っている。
ただし、社内文書検索では権限管理が最重要だ。人事、法務、営業、開発の機密資料を横断するなら、検索インデックス、閲覧権限、監査ログ、人間承認を一体で設計する必要がある。
注意点
ベンチマーク改善は魅力的だが、自社文書の構造や品質で結果は変わる。導入前に、代表的な質問セット、正解根拠、許容レイテンシー、回答拒否の基準を作ることが重要だ。
参考:Mistral公式発表


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