法律AI企業Harveyは2026年3月25日、2億ドル(約300億円)の資金調達を完了し、企業評価額が110億ドル(約1兆6,500億円)に達したと発表した。シンガポール政府投資公社(GIC)とSequoia Capitalが共同リードし、累計調達額は10億ドルを突破した。Am Law 100(米国トップ100法律事務所)の大半を顧客に持ち、リーガルAI分野における圧倒的な存在感を示している。
評価額は4カ月で80億→110億ドルに急騰
Harveyの評価額の推移は、AI企業への投資過熱を象徴している。2025年6月のシリーズEでは3億ドル調達で50億ドル、同年12月のシリーズFでは1.6億ドルで80億ドル、そして今回は2億ドルで110億ドルに到達した。わずか4カ月で評価額が37.5%上昇したことになる。
ラウンド | 時期 | 調達額 | 評価額 |
|---|---|---|---|
シリーズE | 2025年6月 | $300M | $5B |
シリーズF | 2025年12月 | $160M | $8B |
今回 | 2026年3月 | $200M | $11B |
60カ国1,300社以上、10万人の弁護士が利用
Harveyのプラットフォームは現在、60カ国1,300社以上の顧客に利用されている。アクティブユーザーは10万人を超える弁護士に上り、プラットフォーム上には25,000以上のカスタムAIエージェントが稼働している。Am Law 100の大半に加え、500以上のインハウス法務チームと50以上の資産運用会社も顧客に含まれる。
契約分析からデューデリジェンスまでAIで効率化
Harveyが提供するのは、契約分析・文書レビュー・デューデリジェンス・コンプライアンス自動化・訴訟支援といった法律業務のAI化だ。カスタムのマルチステップ法律ワークフローを実行するAIエージェントが、計画・判断・実行を自律的に行う。
AIは単に弁護士を支援しているのではない。法律業務が遂行されるシステムそのものになりつつある── Winston Weinberg CEO
年間経常収益は推定1.9億ドル
非公開ながら、2025年12月時点のARR(年間経常収益)は1.9億ドルと報じられている。今回の調達資金は、AIエージェント機能の拡張とグローバルなリーガルエンジニアリングチーム(顧客に常駐する技術チーム)の拡大に充てられる。
Harveyは2022年にWinston WeinbergとGabe Pereyraによってサンフランシスコで創業された。リーガルテック分野では、法律事務所の基幹インフラとしてのポジションを確立しつつあり、AI企業の中でも純粋なモデル企業から専門分野特化型アプリケーション企業への投資シフトを象徴する存在となっている。
なお、AI法律ツールの精度や倫理面については引き続き議論がある。AIが生成した法的分析を無検証で採用するリスクは複数の専門家が指摘しており、あくまで弁護士の専門的判断を補助するツールとしての利用が推奨されている。
参考:CNBC / PYMNTS / TechCrunch

